
ピースクラフツSAGAでは、定期的に伝統工芸事業者を訪問し、産地の現状について調査を行っています。
伝統工芸の現場では、原料の高騰や後継者不足が深刻化しており、数年後には必要な素地が確保できず、製品をつくることすら難しくなることが懸念されています。
2025年8月7日、私たちは李荘窯を訪問し、ARITA PLUS代表でもある寺内信二社長にお話を伺いました。
有田焼において、生地づくりは器の品質と美しさを左右する重要な工程です。しかし、排泥(鋳込み)やろくろといった生地製作の技術は後継者不足により存続が危ぶまれ、廃業に至る業者も少なくありません。
寺内社長は、「素地成形は高度な技術が求められる分野です。土に向き合いながら地道に取り組む大変な作業である一方で、価格に反映しづらいという現状があります」と語り、熟練した職人の技術と努力に対して、経済的な評価が十分に伴っていないという課題に触れました。
こうした状況を打開するため、「ARITA PLUS」は7社が共同出資し、新たに生地屋を立ち上げる取り組みを進めています。寺内社長は「ちょっと高くてもここに頼もうと思ってもらえるような技術者を育てたい」と述べ、引退した熟練者をアドバイザーとして迎えることで技術を継承し、持続的な経営体制の構築をめざしています。
現在、ARITA PLUSでは生地製造を担う人材を募集しています。熟練の職人から学び、確かな技術を身につけることを目的としています。
現在建設中の新施設は2025年中に完成する予定で、2026年1月から本格的な業務が始まります。
◯ 業務内容
機械ろくろ、及び排泥鋳込み等を中心とした生地製造
◯ 応募条件
・手仕事のものづくりが好きな方
・伝統技術を身に付けたい方
◯ 勤務条件
勤務時間:8:50〜17:30
休日:日曜・祝日、その他年間カレンダーによる(年間101日)
給与:経験等を考慮の上、面接にて相談
社会保険完備(健康保険、厚生年金、労災、雇用保険)
◯ 応募方法
連絡先:株式会社 ARITA PLUS 代表 寺内 信二
携帯:090-4514-4073
メール:info@arita-plus.com
興味のある方は、ARITA PLUSにメールまたはお電話でお気軽にお問い合わせください。
※研修期間を設けることを検討しており、2025年11月頃から勤務開始
※勤務開始時期について相談可能
▶詳しい情報はこちら ARITA PLUS 公式ニュース
伝統工芸の危機が叫ばれてから、すでに半世紀が過ぎました。
昭和40年代の高度経済成長期には産業構造の変化により伝統工芸が衰退し、その危機感から1974年(昭和49年)に「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」が制定されました。国の後押しを受けながらも、当時の職人たちは今や70歳代を迎え、多くが現役を退きつつあります。
いま本当に「ものが作れなくなる時代」が目の前に迫っています。
そのなかで、寺内社長をはじめ「ARITA PLUS」のグループは、各社の利益を超えて力を合わせ、産地を根底から変え、次の世代に残す取り組みを始めました。
ピースクラフツSAGAは、このような産地の挑戦をともに支え、手仕事を未来へとつなげていきたいと考えています。
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