
2025年度「伝統工芸助成事業」の審査会が、2025年4月21日(月)に佐賀市の市民活動プラザ内会議室で開催されました。
この助成事業は、佐賀県内の伝統工芸事業者を対象に、技術の継承や新たな挑戦を支援することを目的とし、公益財団法人佐賀未来創造基金(さがつく)と認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PW)が連携して毎年実施しているものです。
今回の審査会には、4名の審査員が参加。過去最多となる20件の応募の中から、5件の事業者が採択されました。
協議は2時間以上にわたって行われ、事業の内容、社会的意義、持続可能性など、様々な視点から多角的な審査が行われました。
2025年8月には磁器原料の価格が約25%上昇する見込みで、さらに今後2年以内に再度の値上げも予想されています。
この背景から、有田焼に関連する事業者からの応募が多く見られ、中には個人の活動を超えて地域全体の活性化を視野に入れた提案もありました。
今回の採択事業者5件のうち、4件が女性事業者(グループ)からの申請でした。
従来の枠組みにとらわれない、柔軟な発想と積極的な行動力が評価され、厳しい市場環境の中でも希望を持ち活動する姿勢が際立ちました。
応募は過去最多の20件にのぼりました。これは、伝統工芸業界が直面している売上低下や原材料費の高騰といった厳しい現実を反映しています。
同時に、地域のつくり手たちが本事業に寄せる大きな期待の表れでもあります。
一方で、採択枠を広げることができなかったことは、今後の活動資金の確保という課題をあらためて突きつける結果となりました。
■ 審査員からのご意見(抜粋)
・応募件数の増加は、本助成事業の存在が地域に浸透してきた証拠。
・窯業分野に応募が集中したものの、総合的に見て妥当な採択が行えた。
・自走できるかどうかが判断の分かれ目。限られた資金でも前向きに活用する姿勢が評価される。
・助成金額でできることには限りがある。それでも支援を受けられたこと自体が励みとなる事業だ。
来年度以降は、助成金の活用状況や成果の可視化を目的に、事業実施後の追跡報告制度の導入を予定しています。
また、申請内容の精査や審査方法の見直しも進め、より効果的で持続可能な支援体制の構築を目指します。
5月末〜6月上旬には、採択事業者のもとへ審査員が現地訪問を実施予定。
実際の作業環境や課題を把握し、ヒアリングを通して解決策を共に探る、伴走型の支援を継続して行っていきます。
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