鍋島緞通は約330年の歴史を持つ、木綿製の敷物です。ピースウィンズ・ジャパンへのふるさと納税の返礼品にもラインアップされています。鍋島緞通吉島家で工房長を務める古川明美さんも自宅に敷き、愛犬とともに愛用しているという素敵なお話を伺いました。
8年前に一軒家を購入した時の引越し祝いに、鍋島緞通吉島家の先代からいただいたのが鍋島緞通「新鍋島蟹牡丹淡灰地茜」です。先代がかつて自宅で使われていたもので、「明るい色合いなので、古川さんの家の雰囲気に合うんじゃないか」と譲っていただきました。私はありがたく頂戴し、玄関にずっと敷いています。友人や知人が小さな子どもを連れて家に遊びにきた時には、たいてい子どもたちが鍋島緞通の上にごろんと寝転がります。毛足が25mmと長くふかふかな触感なので気持ち良いのでしょう。私の愛犬にとってもお気に入りの場所のようで、気づくと愛犬も気持ち良さそうに寝そべっています。
年月が経つにつれ、いただいた鍋島緞通も家に馴染んできました。帰ってきて足で踏むと、わが家に帰ってきたなと実感します。当初よりは退色しシミもできましたが、それも味のうち。実は鍋島緞通をもう1枚持っていて、私が職人2年目の時に織った「手織四方花文に綿花地縁丁字文枯葉地」です。中国文様を模した左右非対称の細かい文様で、草木染めの糸を取り入れた限定色でした。当時、大変苦労して織った思い出があり、いつか自宅に敷きたいと思っていました。念願叶い、現在、自宅の床の間に敷いて飾っています。2枚とも私の大事な家財道具。私たちが織った鍋島緞通が、ふるさと納税の返礼品にも選ばれていることを嬉しく思います(談)。
(文:杉江あこ/意と匠研究所、写真:藤本幸一郎)
公開日:2019年2月21日
更新日:2021年1月19日
古川明美(ふるかわ・あけみ)
鍋島緞通吉島家工房長
佐賀県生まれ。現在、鍋島緞通吉島家工房長。
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